本コラム「海外リサーチ最前線」では、海外調査(グローバルリサーチ)に特化しSynoJapanの様々な分野のエクスパートが、「海外リサーチ」をテーマに、国内と海外のリサーチ方法の違いや、海外のリサーチ手法の最新情報、海外リサーチをより身近に感じてもらえる情報などを定期的に紹介していきます。

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第一回  欧米の市場調査はサイエンス

第二回 欧米と日本の調査会社の業務領域の違い

前回は日本と欧米の調査会社の違いについてお話していただきましたが、第三回はさらに掘り下げて、日本と欧米の調査コストの違いについて聞いていきたいと思います。

-ずばり日本と欧米の調査相場には違いはあるのでしょうか?どれくらい違うのでしょうか?

先進国の中では日本の調査費は激安です。前回も少し触れましたが、調査会社はオリジナルの分析モデルなどを有していますので、その分は当然付加されますが、同じスペックでオンライン調査を実施する場合でも、日本の方が4割以上安いです。

昨今欧米では、オンライン調査は調査会社に頼らずに、自社で実施するところが増えています。これまでご紹介したように学問として調査を学べるためスキルのある担当者もいますし、それに伴い、自社でオンライン調査を実施するためのツール提供サービスやサポートサービスが充実し、簡単なリサーチは自身で賄い、特殊な分析モデルが必要な場合は調査会社に依頼するという使い分けが定着しつつあります。

-日本の調査費が激安でお得なのに欧米ほどニーズがないのは前回お聞きした教育環境や社会環境の影響が大きいと思いますが、それ以外にも要因はありますか?

日本市場の大きな特異性としてトレンドがあげられます。欧米各社は日本のトレンドを理解できないほど、グローバルで見るとかなり不思議な現象といえます。トレンドとは何か。”流行“、”はやり”などとも言いますが、欧米ではいくらトレンドといっても、自分の嗜好に勝るものではありません。つまり、「自分の嗜好>トレンド」なのです。しかし、日本の場合「トレンド>自分の嗜好」で、トレンドになれば無条件で、トレンドそのものが理想の嗜好になり市場を席捲するわけです。

-つまり調査を積み上げていい商品を開発してもトレンドに飲み込まれて無駄になるというイメージだと思うのですが、もう少しかみ砕いてお聞かせいただけますか

嗜好調査は、「○○についてあなたはどの程度好きですか?」という質問文になります。商品開発においては、このような調査をしながら競合メーカーよりも優れた商品を開発しようとデータを集めていくわけです。そして、才代は・・・が好き、単身者は・・・・が好き、家族同居層は・・・・が好き、などと分析を進め、細かくターゲットとニーズを把握していきます。しかし極端に言うと、強力なトレンドが登場するとほとんどの消費者が、同じ商品を求めます。これでは調査を積み上げて準備した甲斐がありません。

極端にいうと、これまで地道に消費者の嗜好を分析して商品開発してきても、トレンドの波に飲み込まれると、消費者に見向きもされません。欧米にもトレンドはありますが、これほど強烈ではありません。トレンドが響くのは、限られた層に留まる場合が多いですし、消費者自身の嗜好を崩さない層も多いです。

-ではトレンドが存在しない領域では調査を活用したほうが合理的に商品開発やマーケティングができると思うのですが?

日本の企業は、新商品を次々と開発し、短命で市場から姿を消すことに慣れてしまったのか、そのことが会社の収益性を削いでいるという意識が欧米企業よりも低いように思えます。そして、商品開発のスピードの速さは欧米の比ではありません。調査をベースに商品開発する時間もなければ、発売前に検証調査をする時間さえ与えられないことも多々あります。また、マーケティング部署は調査予算があっても、商品開発部署は調査予算がないというバランスの悪さも日本企業の特徴です。マーケティング部署もPOSデータを購入すれば、自らトラッキング調査をしなくてもよいこと、コンビニエンスストアでの生き残りに与えられた時間も限られているので、調査しながら商品を改良する余裕がないことなど、調査どころではなくなる様々な要因が重なり合っています。

また、オーナー企業をはじめ、権限が一極集中型の企業では、調査結果よりもトップの判断が優先されるケースが多いです。欧米の企業では、新商品を発売する際には、市場でのポテンシャルを調査で示さなければ販売できないというルールを設けているところが多く、調査結果がそりまま経営判断に直結します。

-今後日本の調査会社に求められるものとは?

調査に何を求められるかによると思います。日本国内でビジネスするのであれば調査は欧米ほど重視されず、日本の企業には調査を担当する部署や調査のスペシャリストは必要ないということになります。その結果、調査会社も新しいモデルに対するニーズもないために、腕を磨く必要もなく、どの調査会社も似たようなサービスを提供し、価格競争の傾向が強くなると思われます。

しかし、海外に進出する場合は不可欠ですが、日本の調査会社は海外には慣れていないし、外資系の調査会社は日本企業にとっては高いです。日本の企業の実情を踏まえると、調査会社を使うのではなく、欧米企業が自社で賄っている調査業務をアウトソーシングするスタイルが考えられます。

-調査会社に依頼するのと調査業務をアウトソーシングするのとでは何が違うのですか?

冒頭で、欧米では自社でオンライン調査を実施するためのツール提供サービスやサポートサービスをご紹介しましたが、それに近いイメージです。日本の場合、企業側の調査スキルはそれほど高くないので、それも合わせてサポートするスタイルになると思います。低コストで時間削減、継続性、活用度などの向上が期待できる日本のあったモデルと思います。

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従来の調査会社とは異なるスタイルのサービスですが、シリーズでお聞きした日本の調査事情と欧米の事例からすると、かなり信憑性がありますね。今回は日本と欧米の違いについてお聞きしましたが、機会がありましたら是非、調査モデルについてお聞きできればと思います。皆さんもご質問やご要望などございましたらコメント欄からご連絡ください。

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